日々読み続けるyutorisutoのひとりごと


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「 瑠璃色の涙 」 泉ウタマロ 著 2013.8.5 株式会社プレジデント社


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人が死に、霊になってもとの身体を離れ、もと居た世界を眺めると、当然のことながら違ったものが、見えてくる。

そこには生きていた頃とは違った悲しみや喜びがあふれている。そんな世界を信じる人にとっては、おそらく、この作品は[瑠璃色」の宝石のような輝きを持っていることと思う。

そんなことを信じない私にとってもこの作品を読めば、美しい世界、清らかな涙の世界をのぞき見させてもらえる。

内容には理解しがたいものはあるが、理屈抜きで読むべき小品であろう。
言ってみれば少女小説の世界かも知れない。



本の森カフェ・読後川柳
「 霊界も 現世も同じ 心の世界 」






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# by yutorisuto | 2015-07-24 16:31 | 小説
「 処刑室 」 ジョン・グリシャム 著 1995.2.25 株式会社新潮社

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1967年公民権運動推進派のユダヤ人弁護士の事務所に爆弾を仕掛け、弁護士に両足切断の重傷を負わせ、5歳の双子の息子たちを殺害した元KKK(クー・クラックス・クラン)の団員だった死刑囚に事件から20年たち、死刑執行の決定が下された。

20年にわたって繰り返された死刑執行延期のためのあらゆる法的手段がつきはて
執行は避けられない情勢で、執行日まであと4週間を残すのみになった。
この段階に至って、一人の新米弁護士が立ち上がった。
26歳の彼は実はこの69歳の死刑囚の実の孫であった。

物語はこの4週間、弁護士がとる法的手段と死刑囚の様子、刑務所・死刑囚舎房と囚人たちの
様子を克明に描いてゆく。

はたして死刑の執行はとめられるのか、については読んだ後のお楽しみにしておくが、当時のアメリカの刑務所や死刑囚の日常、アメリカの裁判制度や死刑制度、時代遅れのガス室での
死刑執行の方法まで克明に描かれていて興味深い。

克明なはずで、作者は弁護士出身で[法律事務所」「ペリカン文書」「依頼人」など、法律関係の作品で評価の高い人気作家なのだから。



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「 死刑囚 何を考え その日待つ 」


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# by yutorisuto | 2015-06-30 15:35
「 照柿 」 高村薫 著 1994.7.15 株式会社講談社

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兄弟同様に育った男2人、
それぞれに複雑な過去を背負い警視庁の刑事と鉄工所の労働者として
今も背中に重いものを背負って、18年ぶりに出会う。
ここから悲劇の最終章に向かって物語が進行していく情景を描いた大作である。

作者はサスペンスものを得意とする女流作家。
日本推理作家協会賞や直木賞を受賞している実力派である。

しかしこの作品に限っては(?)、他作品にみられる歯切れの良い文章や
情景描写が影をひそめているようだ。
登場人物の心の状態を表現する情景の描写に色彩が使われているのだが、私にはもう一つピンと来ない。冗長な表現になっているように思える。

「照柿」は殺人事件の「血」の色を表しているようであるが、よくわからない作品である。
またいつもはち密で大胆な構想と表現力を持つこの作家らしくなく、大阪生まれにしては、たとえば「環状線」の内回り・外回りがま逆になっていたり、「都島区」が「大正区と「福島区」の隣に引っ越したりといった杜撰さである。

私は、この著者のものとしてはあまりお勧めできない作品・・・・。



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「 殺人も 殺すほうには 理屈あり 」



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# by yutorisuto | 2015-06-22 14:16 | 歴史・経済小説
「 秀吉神話をくつがえす 」 藤田達生 著 2007.9.20 講談社現代新書

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「豊臣秀吉」は今でも大阪では「大阪城」とともに「太閤はん」と親しまれ、人気が
高い。(その分。割をくって徳川家康は悪役イメージで人気がない)

ぞうり取りから一軍の将へ、信長の死後は重臣筆頭から天下人へ、秀吉の姿は下克上
の戦国時代を代表するヒーローであった。
その輝かしくも痛快な一代記は秀吉の存命中から、お伽衆の大村由子が著した
「天正記」などの豊公能によって形作られ、死後「太閤記」などの作品や太閤記物と
呼ばれる浄瑠璃や歌舞伎などによって語り継がれてきた。
明治維新以降は庶民の英雄から一転、大陸進出を目指す「軍国主義の象徴」として
教育現場などにおいてももてはやされた。
戦後の平和国家日本では、その天下統一事業が戦国の世を終わらせるためのものだと
「平和の実践者」へと大転換を遂げる。

秀吉神話は彼の持つ(作られた)イメージの底抜けの明るさから、現在にいたるまで
庶民から支持され続けている。

しかし著者は秀吉の天真爛漫な笑顔の下に隠された実像は、
1.自らの権力欲のためには手段を選ばず、非常な謀略でライバルたちを次々と
  蹴落としていった策士であった。
2.本能寺の変をあらかじめ想定していた可能性がある。(中国大返し)
3.権力を手にしてからは信長に劣らぬ残虐行為を行った
4.民衆に対しては過酷な圧制を敷く独裁者だった

この本を読んだあとあなたの秀吉イメージは変わるでしょうか?




本の森カフェ・読後川柳
「 ヒーローも 裏から見れば 策略家 」





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# by yutorisuto | 2015-06-03 14:30 | 歴史・経済小説
「人口減少社会という希望」 広井良典 著 2013.4.25 朝日新聞出版



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日本の人口は2004年に1億2784万人でピークに達し
2050年には1億人を割って9515万人になる「国立社会保障・人口問題研究所)と予想されている。

イギリスの雑誌「エコノミスト」は2010年11月の日本特集号で
「日本症候群」というキーワードとともに日本の抱える問題の本質は「高齢化」と「人口減少」にあり、
その克服は日本だけの問題ではなく、追いかけて同じ問題に直面することと泣く世界各国が注目する課題であるという主旨の議論が展開されていたという。

この著者は社会保障や環境・医療・福祉・都市・地域に関する政策研究から
時間・ケア・死生観をめぐる哲学的考察まで幅広い活動を行っており、著書も多い。

著者によればここ数年、多少の希望的観測を含むが、日本社会の空気がわずかではあるが、
「緩やかに」「ゆったり」してきているのを感じるという。
それは「拡大・成長」の強いベクトルとその圧力の下で一本道の坂道をひたすら登り続けてきた
明治維新以来の日本社会のありようを成熟あるいは定常化の時代への構造変化の兆しであると感じているようだ。

東京を中心とする都市集中型にシステムから「高齢化」と「人口減少」社会だからこそ、
ローカルなコミュニケーション、ローカルな循環型の生産システムへの方向転換が可能ではないか、と希望を感じているようだ。
確かに今こそ「経済成長への脅迫観念」から開放されて、一人ひとりの創造の時代へと再出発すべきときではないのかと気づかせてくれる一冊のように思える。

車の通行を排除し、年寄りたちがゆったりと歩くヨーロッパの古い街のイメージか?




本の森カフェ・読後川柳
「 人ゆったり 歩く街にこぞ 未来あり 」




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# by yutorisuto | 2015-05-26 14:35 | 政治・社会