日々読み続けるyutorisutoのひとりごと


by yutorisuto
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

<   2013年 11月 ( 6 )   > この月の画像一覧

 「原発ホワイトアウト」若杉 冽 著 2013.9.株講談社



d0256668_15345671.jpg





「ホワイトアウト」とは気象用語で、雪や霧のためまっ白になって視界が何も見えなくなる
現象のこと。

脱藩官僚の雄、古賀繁明氏が推薦する本書は現役キャリア官僚が匿名で書いた「告発ノベル」であるらしい。

「歴史はくりかえす。
一度目は悲劇として、二度目は喜劇として(カール・マルクス)」と
本書の冒頭に引用されているとおり、「原発はまた必ず爆発する」がテーマの物語である。

物語は原子力ムラの「日本電力連盟常務理事」と「推進派のキャリア官僚」が、政治家、マスコミ、経済界、検察を巻き込んで、「福島」以後の原発再稼働に向けて権謀術策の限りを尽くす話である。
原子力ムラに逆らえば、だれであろうとスキャンダルや犯罪をでっち上げられ、蹴散らかされていく。
実際にありそうな、いやきっとあると思わせる闇の世界は本当に恐ろしい。

「伊豆田清彦新潟県知事」「山野一朗保守党一匹狼議員」「山下次郎参議院議員」など実在の
人物にかぶさる登場人物も登場し、現実味を増している。

原子力ムラに逆らうことは日本の最高権力に逆らうことに等しい。
かくして原発は再稼働するが、「二度目は喜劇」どころか国を破滅へと駒を進める爆発を予感させて幕が下りる。

タイミング良く、小泉純一郎の原発ゼロ発言がとびだしたが、今後の原発を考えるとき、国民
の全てが読んでおくべき小説である。



本の森カフェ・読後川柳
「 核のゴミ 捨てる場所なく 国ほろぶ 」




お立ち寄りくださってありがとうございます。

ランキングに参加しています。
ポチっとしてもらえたら励みになります(・∀・)
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
[PR]
by yutorisuto | 2013-11-30 15:37 | 原発問題
「 海国記(上下) 」 服部 真澄 著2018.1.1 新潮文庫


d0256668_13213377.jpg




源平の争いに勝ち残った平氏三代(正盛・忠盛・清盛)は、西国からの「海の道」のもたらす
「利」を理解し、その財物を朝廷に献じることでその地位を上昇させてきた一族である。

国造りに隣の大国「宋」との交易による利益を最大に活用するために、清盛は神戸の福原に
都を移したほどである。

この著者の作品は女性には珍しく(失礼?)、いつも大きな構想で描かれている。
以前この欄で取り上げた「KATANA カタナ」はアメリカの銃規制ガテマであったが「海国紀」は、平氏3代の大きな時間の流れを大河と伏流水として、交互に描くことによってメリハリの利いた読み応えのある大河歴史小説を作り出している。

ただこの「海の道」のもたらす利で皇居や寺社を造営すると、関わった貴族や諸国の国主(受領)たちが潤った事が書かれているが、そこには当然あったと思われる搾取された庶民は出てこない。
その点が少し残念である。



本の森カフェ・読後川柳
「 海の道 極めた平氏 海に死す 」







お立ち寄りくださってありがとうございます。

ランキングに参加しています。
ポチっとしてもらえたら励みになります(・∀・)
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
[PR]
by yutorisuto | 2013-11-27 13:23 | 時代小説
「 来て! 見て! 感じて! 」 鎌田 敏夫 著 2013.6.4 ㈱海竜社


d0256668_13252345.jpg




このタイトルからは、思わずなまめかしい想像をしてしまう人もありそうだが、残念ながら
全くその手のものではない。
これは「伊勢神宮の智恵」(河合真如著)という本の中に書かれた、前神宮大宮司の言葉だそうだ。

著者はかって「金曜日の妻たちへ」や「男女7人夏(秋)物語」などテレビドラマの大ヒットを飛ばし続けた脚本家で現在も活躍中。
この作品は2012年1月から6月にかけて日経新聞夕刊の「プロムナード」欄に掲載されたものに新たに書き下ろしたものを加えたエッセイ集。


ドラマのセリフであったり、酒場のママの言葉であったり、いろいろな状況の中で、生まれ
でた言葉を一遍ごとのテーマにして、50篇の物語を見せてくれている。

さすがにヒットメーカーの脚本家である。一つずつのことばが、その背景から浮かびあがって、
その奥の深みまでも覗かせてくれるような気がする。


「淋しさを知っている人間だけが、笑って生きる楽しさもしっている」


ドラマを作る人の真髄の一部に触れたような気がする作品である。




本の森カフェ・読後川柳
「 世の中を 映すドラマに 笑いあり 」





お立ち寄りくださってありがとうございます。

ランキングに参加しています。
ポチっとしてもらえたら励みになります(・∀・)
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
[PR]
by yutorisuto | 2013-11-25 13:19

「バブルの死角 日本人が損するカラクリ」 岩本沙弓 著2013.5.12 集英社新書


d0256668_13411399.jpg





著者は若手の経済評論家で、もとは日・米・加・豪の金融機関で外国為替・短期金融市場
取引のトレーディング業務に従事。
その実務経験をもとに、現在起こっている日本の経済・財政・国際金融などを分かりやすく解説し、問題点を浮き彫りにしている。

今、アベノミクスのもとで日本では「スクリューフレーション」が起こっているという。
景気停滞と物価上昇の中で、中間層が没落する状態をいう言葉だそうだ。
物価目標を2%上昇に設定し、デフレ脱却という言葉の独り歩きはスクリューフレーションの
進行を隠して、中間層を疲弊させる。
中間層にとっては、所得が上がらない状況の中では、実質的にはすでにインフレ状態にあるのと同じであろう。

こんな中、国はますます格差を広げる消費税を上げる予定である。
「輸出還付金」という言葉を知ってますか?
私は知らなかったのですが、今、国庫に入る消費税は約10兆円であるが、その25%ほどの2.5兆円が消費税の中から、輸出還付金として輸出企業へ支払われているそうだ。
そしてその約1,2兆円が輸出企業上位20社の懐へ流れ込んでいる。

ここでも中間層からの搾取の構造が見られる。

このまま金融緩和が進み、大企業優遇の税制等のシステムが進めばまた庶民を直撃するバブルが生じ、そして弾ける悲劇が日本人を直撃し、その富はどこかへ行ってしまうのでは?

アベノミクスにだまされないように、ぜひこの本を読むべきですよ・・・・




本の森カフェ・読後川柳
「 バブル見た 日本は懲りずに またバブル 」







ランキングに参加しています。
ポチっとよろしくお願いします(・∀・)
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
[PR]
by yutorisuto | 2013-11-19 13:42 | 経済
「 私はコーヒーで世界を変えることにした。」 川島 良彰 著 2013.5.10 ㈱ポプラ社


d0256668_1163657.jpg



18歳でエルサルバドルのコーヒー研究所への留学を始めとして、ジャマイカ、ハワイ、インドネシアなどで、コーヒー農園の開発に携わり、マダガスカルで絶滅危惧種マスカロコフェアの
保全保護やレユニオン島(マダガスカル島東方のインド洋に浮かぶフランスの海外県)で絶滅
したとされていたブルボン・ポワントウ発見・再生で同島のコヒー産業を復活させる。

国内では日本航空の機内コーヒーをプロデュースし、日本貿易振興機構(JETRO)の
コーヒー・アドバイザーを務めるなど、コーヒーとともに好き勝手な半生(1956年生まれ)を送ってきた男の物語。

その強い意思と情熱が読み取れて面白い。
もちろん苦労はあっただろうが、コーヒーという夢とともに、すごした幸せな男の自伝である。






本の森カフェ・読後川柳
「 コーヒーの 魔力に憑かれた 侍一人 」






ランキングに参加しています。
ポチっとよろしくお願いします(・∀・)
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
[PR]
by yutorisuto | 2013-11-14 11:07 | 自伝
「常識」としての保守主義」 櫻田 淳 著2012.1.20  新潮新書


d0256668_1359485.jpg




保守主義とは何か、頑迷に旧いものを守る思想ではない。
伝統を尊びつつも、柔軟に新しいものを取り入れ、中庸を美徳とする姿勢である。

こんな観点から、その本質を成立の歴史や、
「シャルル・ド・ゴール」「ウインストン・チャーチル」「ロナルド・レーガン」「吉田茂」「コンラート・アデナウアー」等の代表的保守政治家の
事績から学び、今の混迷する政治の状況を考える視点を提供するための書である。

保守主義という政治思想は、「保守主義者=右翼=タカ派=好戦的」と「進歩主義者=左翼=
ハト派=平和的」という冷戦期の図式にとらわれイメージされているが、本来の保守主義は、
共産主義・社会主義の持つ狭量さと同様な攻撃性をもつものではなく、「余裕」[寛容]「品格」
を感じさせる奥行きを持つことが、理解できる。



本の森カフェ・読後川柳
「 勇ましく 吠えるタカ派も 平和ボケ 」








ランキングに参加しています。
ポチっとよろしくお願いします(・∀・)
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
[PR]
by yutorisuto | 2013-11-05 13:52 | 政治・社会